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花の蜜を主食にする哺乳類
細長い口に、シマリスのような小さな身体。西オーストラリアの一部の地域だけに住む哺乳類「ハニーポッサム」は、愛くるしい見た目から現地の人々に愛されている。成獣でも体長は約4~7cm、体重は10g前後と、哺乳類の中でも、かなり小さい部類に入る。

ハニーポッサムの珍しい点はサイズだけではない。地上に住む哺乳類では唯一、花の蜜を主食にしている点も特徴だ。また、メスはお腹の袋で子育てをするため、有袋類という特殊なグループに属している。同じくオーストラリアが原産の、カンガルーやワラビーの仲間なのだ。

かわいらしい見た目と生態とは裏腹に、ハニーポッサムにはさらに意外な一面がある。それは、オスの睾丸が常軌を逸した大きさであることだ。

体長は大きくても7cmほど。だが、睾丸の大きさはお腹の面積の3分の1にもなる。人間の大きさで例えてみると、大玉のスイカのようなサイズの睾丸がついているという計算だ。

謎だらけの生態
また、睾丸も大きければそこで作られている精子も大きい。大きさはなんと約0.3mmもあり、ほとんど肉眼で確認できるレベルだ。これはクジラやゾウといった、大きな哺乳類と比べた時でも、トップクラスのサイズである。

それとは反対に、大きな精子から作られる新生児は、生まれてきた時にはわずか5mgと超未熟児の状態で生を受ける。1gの200分の1ほどの重さしかないと思うと、その小ささがより理解できるだろう。ハニーポッサムの幼体は、外に出られる大きさになるまでは母親の袋の中で、生活するという。

小さな身体に大きな睾丸と精子―。このアンバランスな生態が何の役に立っているのか、その理由は現在に至るまで明らかになっていない。

ハニーポッサムが生息しているフィッツジェラルド川国立公園は、19世紀にダーウィンも訪れている。ハニーポッサムの進化の歴史に思いを馳せるため、いつか現地を訪れてみるのもいいかもしれない。

「週刊現代」2023年5月20日号より

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