異変? 下北で初めて伊勢エビ水揚げ
https://news.yahoo.co.jp/articles/11dba27f99830337400af3faf0ca10116276ef5d

温暖な海域に本来生息する伊勢エビ1匹が21日早朝、津軽海峡に面した
青森県東通村・石持漁港沖合で水揚げされた。2007年以降、県産業技術センター水産総合研究所に
報告のあった県内での伊勢エビの水揚げは記録上、八戸の2例だけで下北は初めて。
黒潮(暖流)が北上する「北偏」、あるいは日本海側から対馬暖流が
津軽海峡に流れ込んだ津軽暖流が影響した可能性もある。

伊勢エビは同村の漁師・杉本文悦さん(70)が同漁港から沖合約2キロ、水深20メートル弱に
仕掛けたアイナメ(アブラメ)漁獲用の籠に紛れ込んでいた。体長は約30センチ。

「何だ、これ」。驚いた杉本さんが周囲に尋ねても「聞いたことがない」と
皆一様に首をひねるばかり。取りあえず刺し身と、頭部はみそ汁に仕立てた。
「身がプリプリでうまかった。エビみそが入った頭(かしら)は
こくがあった」と杉本さんは語る。

伊勢エビは千葉や三重など太平洋側の暖かい海域が主力漁場。同研究所の
今村豊資源管理部長は「相当珍しい。近年、黒潮が東北地方にまで達し、
宮城でも伊勢エビが取れる。北偏の影響で東通まで来た伊勢エビが、
たまたま水温が下がらず生き残れそうな所にいたのかもしれない。
津軽海峡は対馬暖流の影響下にあるから」と指摘する。

気象庁によると、黒潮は17年8月〜25年4月の7年9カ月という過去にない長期間、
南側に大きく迂回(うかい)して流れる「大蛇行」となった。直接の因果関係は不明だ。
さらに黒潮は本来のルートよりずっと北、北緯40度付近の岩手沖まで
達したものの現在は福島沖で収まっているという。

櫻井敏之予報官は「下北半島では近年、夏の熱波高温のため海水温が高く
養殖に影響が出ているが、黒潮と地球温暖化との関連はもう少しスケールの
長い話」と断った上で「伊勢エビに関しては津軽暖流の影響が大きそう」と語る。

ただ、対馬暖流が流れる日本海側の秋田県水産振興センターや山形県水産技術振興センターによると、
両県で成体の伊勢エビが水揚げされたとの報告はない。現時点で新潟県が北限だ。

杉本さんは本来取りたいアブラメの水揚げがこの1カ月間皆無でいやが上にも
海の異変を感じている。「伊勢エビが(高値とはいえ)1匹だけでは商売にならない。
気候変動の影響なのか、海水温がどうなっているのか。
冬場のミズダコやヒラメは大丈夫か」と心配顔だ。