衆院内閣委員会は24日、自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党の4党が共同提出した日本国旗損壊罪法案の趣旨説明と各党の質疑を行った。法案は高市早苗首相の肝いり。中道改革連合の長妻昭氏は、自民内で法案に否定的な意見を述べてきた岩屋毅前外相に「見識の深さを感じる」などと述べ、法案に反発した。

質問の冒頭、長妻氏は「私も国旗を前にすると厳粛な気持ちになるし、国旗を損壊されたら不快な念を持つ」と前置きした。一方、法案に関しては「自分で持っている国旗に対しても(損壊すれば)現行犯逮捕される。勢いで作ったようなイメージを持った。大変いい加減な議論で、根拠がきちっとあったのか、疑わざるを得ない」と批判した。

「日本死ね」ブログに言及
長妻氏は、法律が存在する根拠となる事実などを指す「立法事実」や憲法が保障する「表現の自由」と法案の関係を中心に質問した。長妻氏は提出者側に、自己所有の国旗を損壊した事例を把握した人がいるか尋ねた。提出者の一人である自民の勝目康衆院議員が「いない」と答えた。

これに対し長妻氏は、一般に法案審議の手順として「社会問題になって法律で取り締まる必要があるという機運が上がってきて、罰則について慎重に議論していく、罪刑法定主義の観点から明確に分かる形に限定をして議論をして、法律を審議するという手順になる」と指摘。その上で日本国旗損壊罪法案について「根底から立法事実がないのではないか」と主張した。さらに、今回の法律がなかった場合の社会や国民の不利益をただした。

勝目氏は「国旗を大切に思う心は多くの国民に共有されている感情だ。(そうした)社会的法益を守るための法案だ」と説明した。「現在SNSも発達している中で、国旗の損壊が社会にどんどん流布していくことが非常に懸念される。そうしたものに対する予防的措置も、立法事実として踏まえないといけない」と語った。

また、長妻氏は「国旗を損壊する場合、好意的なメッセージを書く場合と好意的でないメッセージをマジックインキで書く場合と、法案の構成要件が変わってくる(のではないか)」と述べ、表現する内容を制限することにならないかとの問題意識をぶつけた。過去に「保育園落ちた日本死ね」と書き込んだ匿名ブログが話題となったことを挙げ、「『日本死ね』だけ聞けば非常に厳しい言葉だと思うが、一定の共感を得て、その後待機児童の減少につながったというムーブメントのきっかけにもなった。国旗とは関係ないが、思いを持って国旗に対して政治的なメッセージとしていろいろなことをすることについても取り締まることになるのか」と述べた。

法案提出者「表現の内容は構成要件にならず」
勝目氏は「国旗損壊によってなされる表現メッセージの内容とは全く無関係に、そのような行為がもたらす弊害、つまり国旗を大切に思う国民感情に対する侵害を防止するためのものだ。人に著しく不快または嫌悪の情を催させる方法で公然と損壊を行うという客観的な行為を要件とする。表現の内容は要件にはなっていない」と否定した。

質問の終わりに、長妻氏は「自民党内でも異論の声が上がっていると聞いている」として、岩屋氏や石破茂前首相の名前を挙げた。

岩屋氏が雑誌のインタビューで語った内容について「私の気持ちとほぼ同じことを言っていて、見識の深さを感じる」と述べ、内容を読み上げた。岩屋氏はインタビューの中で、立法の動機が「純粋な法益保護」ではなく「一部の政治的主張や特定の支持層へのアピールから始まっている」としたほか、「国民の思想統制の道具に悪用される恐れがある」などと語った。

さらに長妻氏は、石破氏がメディアで「刑罰をもって臨むことなのか、法理論的にあまり正しくない」との見解を示したとして、「私も同感だ」と評価した。

https://www.sankei.com/article/20260624-AZ53RM6SSZGTJFZQ6NJFVBZVGY/