仕事柄、ネットニュースやSNSのトレンドをチェックしていますが、毎日必ず「えっ?」「これは誤解を招きそう」「悪意を誘っている」と感じるものが複数あります。

この数日間で最もそう感じたのが、朝日新聞ウェブ版が報じた「テレビ離れ加速、20代は7割・30代は6割がほぼ見ず NHK調査」という記事。

この記事はYahoo!トピックスとなり、あっという間に多くのコメントが書き込まれました。

「『テレビ捨て』の段階に入っている」など厳しい声
トップコメントには「もはやテレビ離れというより『テレビ捨て』の段階に入っている」「ネットやSNSの普及が原因とされているが、一番の原因はテレビ側のコンテンツの質の低下だと思う」などの厳しいコメントが書かれ、多くの人々が「共感した」を押しています。

実際、質の低下、視聴率重視の制作、横並びの番組編成、報道姿勢など、テレビ側の問題があることは間違いないでしょう。しかし、この「テレビ離れ」という報じ方がミスリードとなって、過剰にネガティブなコメントを集めている感は否めません。

では何がミスリードとなったのか。調査結果は本当に「テレビ離れ」なのか。なぜこれほどネガティブなコメントが集まったのか。どこにも忖度せずフラットな視点から読み解いていきます。

録画や配信は「テレビ番組ではない」のか?
まず今回の報道を振り返ると、ベースとなっているのは、6月16日にNHK放送文化研究所が発表した国民生活時間調査の結果。NHK放送文化研究所は5年ごとにこの調査を行っていて、今回は2025年10月に行った調査結果が発表されました。

全国から無作為に選んだ10歳以上の7200人に調査票を送り、有効回答となったのは3795人(全体の52.7%)。

「平日に15分以上リアルタイムでテレビを見た人」の割合は71%で(前回の20年より8ポイント減)。

世代別では、10~15歳が42%(前回56%)、16~19歳が27%(前回47%)、20代が33%(前回51%)、30代が43%(前回63%)、40代が55%(前回68%)、50代が73%(前回83%)、60代は84%(前回94%)、70歳以上は92%(前回95%)。

また、「全世代で割合が減ったのは、現在の調査方法となった1995年以降初めてのこと」でした。

さらに記事は、「研究所はこの結果について、インターネットの動画やSNSなどの利用が増えたことが要因だとみている。一方、テレビの平均利用時間は3時間14分で、前回の3時間1分から増えた。70歳以上の利用時間が増えたことが全体を押し上げたという」と締めくくられています。

冷静に読むと、「あれ? 録画や配信で見た分はテレビ番組じゃないの?」と気付くのではないでしょうか。これは「リアルタイムでテレビを見た人」の調査であり、録画や配信での視聴は含まれていません。

そのため正確に報じるのなら「テレビ離れ」ではなく、「テレビのリアルタイム視聴離れ」でしょう。全録機器やコネクテッドTV(インターネットに接続したテレビ)、TVerなどの配信アプリを無視した数値で「テレビ離れ」と言い切るアンフェアさを感じます。

特に20年代に入って配信視聴が右肩上がりで増えていることを踏まえると、「テレビ離れ」ではなく「放送離れ」と言っていいのではないでしょうか。

実際、TVer発表の26年1~3月データではコネクテッドTVの割合が38%となり、月間2.1億回再生を超えているようです。もちろんスマホ、タブレット、パソコンでの配信視聴も多く、これらを「テレビではない」とみなすことには無理があるでしょう。

つづき
https://toyokeizai.net/articles/-/948750