1923年9月1日の関東大震災では、デマから数千人の朝鮮人が軍の一部や自警団に殺された。韓国国会では今年3月、虐殺の真相究明を目指す特別法案が提出され、審議中だ。100年前の出来事をなぜ今、取り上げるのか。法案を主導する革新系の最大野党「共に民主党」の柳基洪ユギホン国会議員に聞いた。(聞き手=ソウル・木下大資)

◆法案の狙いは「犠牲者の名誉を回復したい」
 ―法案の狙いは。

 100年を機に真相を究明し、井戸に毒を入れるテロ犯などと見なされた犠牲者の名誉を回復したい。歴史の法廷に時効はない。日本の過去を攻撃するためではなく、真の和解を成し遂げるためのものだ。

 ―望ましい和解のあり方とは?

 南アフリカでは(1990年代の)ネルソン・マンデラ政権期、過去に差別や弾圧を受けた人々が暴力的な報復を始め、解決のために「真実和解委員会」をつくった。加害者、被害者が全てを話して真実を明らかにし、加害者が謝罪して被害者が受け入れることで和解が実現する。韓国は、南アフリカをモデルに政府の調査機関「真実・和解のための過去事整理委員会」をつくり、近現代に国民が巻き込まれたさまざまな人権侵害事件を扱ってきた。その精神が韓日の歴史問題解決にも役立つと思う。

◆日本政府の謝罪も必要
 ―具体的には。

 両政府が力を合わせて調査し、資料展示などの記念事業を行うことが大切。これまで日本の市民団体が各地で被害者名簿を明らかにしたり、遺骨を発掘したりと自発的な活動を行ってきており、そうした努力も一緒に記録しなければいけない。直接・間接的に虐殺に関わった日本政府が謝罪することも必要だ。

 ―韓国内の関心は?

 元徴用工や慰安婦問題は被害者が生存しているが、この問題は少数の遺族が活動している状況。相対的に関心は高くない。だから被害者への補償よりも、真相究明と名誉回復に力点がある。労働組合や市民団体が100周忌追悼事業の推進委員会を組織し、記者会見や行事を担っている。

 ―法案の見通しは。

 超党派の合意を形成するよう努力するが、もし与党が反対すれば、過半数の議席を持つわれわれの力で成立させる方法も模索する。

 (保守派の)尹錫悦ユンソンニョル政権は日本との関係改善を口実に歴史問題をまともに扱わず、あるいは正しくない方法で解決策を提示している。真相究明と和解がなされないと、次の大統領選で再び進歩的な政権が発足した場合、問題の解決を再び日本政府に要求することが繰り返されるだろう。

 関東大震災時の虐殺事件の真相解明や被害者名誉回復に関する特別法案 韓国の野党を中心に、与党の一部や無所属を含む議員100人が共同提出。虐殺の真相を調査する委員会を設置することなどが柱。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/273689/